「もし〜だったら」の形 -sAydI(反実仮想)
この課でできるようになること: 「お金があったら買っていたのに」のように、実際とは違った過去を仮定して、後悔や空想を話せるようになります。
まず日本語で考える
日本語の「もし〜たら」には2種類あります。「明日晴れたら行く」(これから起こるかもしれない)と、「昨日晴れていたら行ったのに」(実際は雨だった=もう変えられない)。トルコ語では前者を27課の -irse/-arsa、後者をこの課の -sAydI で言い分けます。-sAydI は、-sA に「〜です」にあたる部分の過去形 idi(〜だった)がくっついた形です。「たられば」の話は日本語話者もよくしますね。「あのとき勉強していたら」「もっとお金があったら」――トルコ語ではこの「たられば」がまるごと1つのパーツ(接尾辞)で表せるので、慣れると日本語よりもむしろシンプルに感じられるかもしれません。
ルール
① 動詞の語幹(もとの部分)に直接 -sA を付ける。「いつもの形」(アオリスト)は経由しない。
② その後ろに idi 由来の -ydI を続ける。合わせて -sAydI。
③ 母音そろえルール(母音調和): 前グループ(e, i, ö, ü)の動詞には -seydi、後ろグループ(a, ı, o, u)には -saydı。母音で終わる動詞にも緩衝子音なしでそのまま付く(bekle→bekleseydi)。
④ 文の後半(「〜したのに」の部分)にも過去の形(-irdi / -ArdI など)をよく使う。
⑤ 人称のパーツ(人称接尾辞。-m, -n, -k, -nIz など)は -sAydI のさらに後ろに続く(gel+seydi+m=gelseydim「私が来ていたら」)。
- gel + seydi → gelseydi(もし来ていたら)
- ol + saydı → olsaydı(もしそうだったら)
- bil + seydi → bilseydi(もし知っていたら)
活用パターン表
語幹の最後の母音で -seydi か -saydı かが決まります(4型調和ではなく2型調和なので、丸め〈円唇〉は関係ありません)。
| 語幹 | 最後の母音 | グループ | -sAydI形 |
|---|
| gel(来る) | e | 前 | gelseydi |
| gör(見る) | ö | 前(丸めても関係なし) | görseydi |
| bekle(待つ) | e | 前 | bekleseydi |
| ol(〜になる) | o | 後ろ(丸めても関係なし) | olsaydı |
| al(取る) | a | 後ろ | alsaydı |
| dur(止まる) | u | 後ろ(丸めても関係なし) | dursaydı |
例文
- Erken gelseydin, onu görürdün.(もっと早く来ていたら、彼〈女〉に会えていたのに)← gel + seydi + n
- Param olsaydı, o arabayı alırdım.(お金があったら、あの車を買っていたのに)← para + m「私のお金」
- Bilseydim, gelirdim.(知っていたら、来たのに)
- Okula gitseydim, onu görürdüm.(学校に行っていたら、彼〈女〉に会えたのに)
- Keşke gelseydin!(君が来ていたらなあ!)← keşke(〜だったらなあ)と組み合わせると後悔の表現に
- Zamanında dursaydı, kazayı önlerdi.(あのときちゃんと止まっていたら、事故を防げていたのに)
- Erken uyansaydım, treni kaçırmazdım.(早く目が覚めていたら、電車に乗り遅れなかったのに)
- Onu görseydim, selam verirdim.(彼〈女〉を見かけていたら、挨拶していたのに)
- Biraz daha bekleseydik, otobüse yetişirdik.(もう少し待っていたら、バスに間に合っていたのに)
- Keşke o işi kabul etmeseydim!(あの仕事を引き受けなければよかったのに!)← 否定形 -mAseydi
- Hava güzel olsaydı, pikniğe giderdik.(天気が良かったら、ピクニックに行っていたのに)
- Param olsaydı da sana yardım ederdim.(お金があったら、君を助けてあげられたのに)
ミニ会話
- A: Dün parti nasıldı?(昨日のパーティーどうだった?)
- B: Çok eğlenceliydi! Keşke sen de gelseydin.(すごく楽しかったよ!君も来ていたらなあ)
- A: Ah, bilseydim gelirdim. Kimse söylemedi.(ああ、知っていたら来てたのに。誰も教えてくれなかった)
- B: Erken haber verseydik, sen de programını değiştirirdin belki.(私たちが早く知らせていたら、君も予定を変えられたかもね)
- A: Doğru. Peki yemekler nasıldı?(そうだね。それで、料理はどうだった?)
- B: Harikaydı! Biraz daha kalsaydın, tatlıyı da yerdin.(最高だったよ!もう少しいたら、デザートも食べられたのに)
つまずきポイント
- × これから起こりうる話に -sAydI を使う → ○ ありうる条件は -irse/-arsa(27課)。-sAydI は「実際はそうならなかった」専用。
- × 「いつもの形」をはさんで gel-ir-seydi と作る → ○ この課の基本は語幹に直接付ける: gelseydi。
- × 後半を現在の形にする(Param olsaydı, alırım)→ ○ 後半も過去の形: alırdım(買っていたのに)。
- × 母音で終わる動詞にも緩衝子音を挟んでしまう(bekleyseydi のような形)→ ○ -sA は子音から始まる接尾辞なので、母音で終わる動詞にもそのまま付く: bekleseydi。
- × 否定形を -sAydImA のような順番で作ってしまう → ○ 否定は -mA が先: kabul et+me+seydim=etmeseydim(引き受けなければよかった)。
3行まとめ
- -sAydI =「実際はそうならなかった過去」への仮定(反実仮想)。
- 語幹に直接付ける。母音で終わる動詞にも緩衝子音なしでそのまま付く。ありうる条件の -irse/-arsa(27課)とは別物。
- 後半にも過去の形(görürdün, alırdım)。keşke と組み合わせれば後悔の表現に。